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- 作者: 湯川秀樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1976/12/08
- メディア: 文庫
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現実は痛切である。あらゆる甘さが排斥される。現実は予想できぬ豹変をする。あらゆる平衡は早晩打破せられる。現実は複雑である。あらゆる早合点は禁物である。
それにもかかわらず現実はその根底において、常に簡単な法則に従って動いているのである。達人のみがそれを洞察する。
それにもかかわらず現実はその根底において、常に調和している。詩人のみがこれを発見する。
達人は少ない。詩人も少ない。われわれ凡人はどうしても現実にとらわれ過ぎる傾向がある。そして現実のように豹変し、現実のように複雑になり、現実のように不安になる。そして現実の背後に、より広大な真実の世界が横たわっていることに気付かないのである。
現実のほかにどこに真実があるかと問うことなかれ。真実はやがて現実となるのである。
p.117 「真実」
この一節と同じような内容、ファインマンさんの本にもあったなあ。
ものごとの本質を見ようとし目に見えないものを感じようとし、表層だけじゃなく潜ってみて そして深淵を想像しとらえようとする、そういう人が好き。自分もそうありたい。