KOCSIで読んだ本 >人間失格
この作品を初めて読んだのは19歳の時だった。ちょうど『ノルウェイの森』読了直後で Wショック強烈な記憶。現実に戻れずどうしようもない気持ちで何日か過ごしたのを覚えている。物語に入ろうとすればするほど、どうしても主人公や主要人物の気持ちを理解することが出来ず苦しかった。感情移入いやもっと同化しようとするほど、気持ちや人をそうさせてしまう源泉の部分をちゃんと捉えることができない悲しみでいっぱいになったのだった。今もそういう傾向はある。
人間失格』についてひとつ言えるのは、賛否両論いろんな考えがあると思うが、葉蔵を人間失格な人だとは思えない。頭がよく繊細で不器用で純粋すぎる。その分、人一倍傷つき苦しかったろうなとは思う。太宰もきっと。
あれから10年以上の時が過ぎて、読後の印象は少し違ったものになった。もっともっと遠くにあった生とか死のありようを少し知ったからなのかな。あ、これは暗い意味じゃなくて生きていれば当たり前のこととしてのお話。…えへへ。

人間失格 (新潮文庫)

人間失格 (新潮文庫)

いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。

そういえば、どちらも映画化されるらしい。へんてこで中途半端でみーちゃんはーちゃんウケ系なんかにしたら許さんどー。